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2019.05.02
公正証書について
お金の貸し借りをしたときに「公正証書を作ったほうがいい」という話を聞くかもしれません。
なぜ公正証書を作成した方がいいかというと、お金の貸し借りをしたときに公正証書で契約をしていなかった場合、債権者は債務者からお金を回収するためには、まず裁判所にお金を返せという訴えをしなければなりません。
その訴えで勝訴判決を得た後に、債務者の財産を強制執行することになります。
公正証書で契約書を作っていた場合は、裁判所にお金を返せという訴訟を起こすまでもなく強制執行をすることができます。
実際に強制執行をするときには、公正証書だけがあれば強制執行できるわけではなく、公正証書のほかに送達証明書と執行文が必要です。
債権者と債務者が一緒に公証役場に公正証書を作りに行った場合には、その場で債務者に公正証書が送達されます。
この場合、送達証明書はすぐに交付してもらえます。
ただ債務者が公証役場に行けなかった場合、債務者の代理人などが公証役場に行ったときは、その場で債務者に公正証書を送達することができないので、送達証明書は後日発行してもらうことになります。
執行文というのは、強制執行する場合、執行裁判所へ強制執行の申し立てをする必要があるのですが、公正証書を作った公証役場と、強制執行をする裁判所では管轄が違い、実際に債権があるのかを執行裁判所では判断できません。
ですので、公証役場でこれは執行してもいい債権ですよという執行文を付与してもらい、それを執行裁判所に持って行くことによって、強制執行が可能になります。
執行文は、公正証書作成の際に公証人役場へ行ったときには付与してもらえません。
債権者と債務者の契約の中で弁済期を定めていると思いますが、その弁済期が到来するまで債務者はお金を返す必要がありませんので、直ちに強制執行をできるという状態にはなっていないからです。